小規模多機能への切り替えの代償

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今まで通院等乗降介助のサービスを定期的に利用されていた方がいらっしゃり、その方が小規模多機能事業所へ移行されるということになったそうです。訪問・泊まりを通い前提で包括的に対応できる、地域密着型の新しい形として始まったサービス。(新しいといっても数年経ちますが…)

しかし、介護保険の訪問サービスで通院等乗降介助は利用できないのです。

これを知ってか知らずか、よくわからないトラブルが発生…

通院等乗降介助を利用されていた時の居宅介護支援事業所のケアマネからは「居宅変更になりました」と一言だけ連絡があり、サービスはとりあえず継続でというお話しがありました。1か月前のことです。

新しいケアマネの事業所さんもご挨拶には来ていただいたのですが、(私は不在だったので会えませんでしたが)書面上でのやり取りは全くなく、電話で「送迎サービスの予約をお願いします。」との電話がありました。

そして、居宅変更後1カ月、サービスを継続利用され、月末に実績を送付したところ、現在のケアマネから、小規模多機能居宅介護に切り替わっているので、請求はできません、と連絡があり、ビックリ!

今、思えば「送迎サービス」を予約したいとお話があった時に、ん?と感じる点はあったのですが、いかんせん、面識のない方です。依頼をされるときの言葉として、介護保険であっても「介護タクシー」お願いします、といってみたり、自費なのに、通院介助をお願いしますといってみたり、ケアマネの中で、通院等乗降介助や介護タクシーといった言葉の定義付けが周知されていない方が多く、言葉だけでは依頼内容が不透明なことが多いのです。

今回のケースも「ん?」とは思いましたが、小規模多機能の「小」の字も言っていませんし、前任のケアマネも居宅変更といっただけで、サービスは継続してほしいといわれており、家族もそれを希望し、利用中も何の疑いも無く利用されていました。

今回のケースでは、さまざまな問題があります。

提供票がきていないにも関わらず、サービス提供してしまった当事業所。口頭のみでの依頼で動いた点は反省すべきところ。提供票を送ってこないマネージャーもいて、居宅変更でバタバタしているのかな?と催促することも躊躇してました。電話で新しいマネージャーからも送迎予約の電話もあったので、安心しきった点が失敗です。

しかし、前任の居宅介護支援事業のケアマネの制度利用が変更になるという点の説明が無かった点、引き続きお願いしますと言ってきた、誤解を招く依頼伝達も問題ありと考えます。

また、家族が今までと同じように利用できること自体知らなかったという点では、移行時の前任および現任のマネージャーからの説明不足も問題です。契約時に行ったはず…とこちらからの問い合わせに対し、現任マネージャーは応えておりましたが、伝わっていなければ、アカウンタビリティを果たしていないことと同じだ!

小規模多機能居宅介護というサービスは通うことが前提で、訪問サービスも利用できて、それらをすべて含めた費用として、包括的に算定される報酬です。その訪問サービスは介護保険の訪問介護サービスと同様なわけで、通院サービスなどはしなくてもよいなんてことはないのです。ですから、小規模多機能に切り替わっているのであれば、そこの事業所で行うことが一般的。おそらく道路運送法上の許可が無いので行わないのでしょう。であれば、依頼されるとき、今まで介護保険での訪問介護サービスとして利用していたということが分かっているわけですから、書面でも口頭でも、今までの形と変更になるという説明があっても良いのでは?と思ってしまいます。

何にしても、利用者やその家族が一番の被害者です。もし、通院等乗降介助サービスが利用できないなら、このサービスに切り替えたかどうか、わかりません。さらに1カ月利用した分をこちらも介護保険で請求できないということであれば自費での請求に切り替えなくてはなりません。費用負担は、当然10倍近い金額となるわけです。

居宅変更前でも後でもサービス担当者会議を行っていればこんなことにならなかったでしょう。

我々、訪問介護事業所としての立場では、所詮限られた情報の中でケアマネからの依頼を受けて対応しています。居宅変更の時の注意事項、特に小規模多機能への移行ということであれば、ケアマネのアカウンタビリティは非常に大きなものとなるはずです。

今後は私たちも自費サービスとしてサービスを提供するので、利用者の利用負担も大きくなります。移行の時、どんな説明をしたか知りませんが、いいことだらけのアピール説明で、移行したのであれば、利用負担軽減のために、そこの小規模多機能事業所で、ぶらさがりでもなんでもいいから道路運送法上の許可を得て、包括算定の中で、今まで通り、通院まできっちり支援したほうがよいと思います。

訪問サービスで通院等乗降介助がいつも軽んじられるのはなぜだろう。きちんと体系化された制度なのに、通院等乗降介助をやらない訪問介護や、小規模多機能居宅介護はあるが、生活援助または身体介護をやらない訪問介護なんて聞いたことが無い。

それだけ制度が中途半端ということだろう。自分たちの事業活動を通じて、とても利用価値のあるサービスであることをアピールしていきたいと思います。

ちなみにこの掲示板もチェック!関連事項が書かれています。

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