障害福祉サービスと介護保険制度。
この2つの制度は、一つになるのでしょうか?
障害福祉サービスは、平成18年10月に改正し、利用料を1割分払うようになりました。これは、障害者及びその後家族にとっては、非常に大きな問題で反発もありました。しかし、国はこれを財源の不足などを理由に強行しました。この動きを受けて、国の思惑としては、将来的に、この2つの制度を一本化し、財源の確保、制度の簡易化などを図るのではとの声も聞かれます。
この2つの制度、一見似ているようで、実は全然違うと私は感じます。
第一に法律の違い。
障害福祉サービスは、障害者自立支援法に基づくサービスで、この法律は、障害者基本法の基本理念にのっとり、身体障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、知的障害者福祉法、児童福祉法、その他関連法と相まって、自立した日常生活又は社会生活ができるように支援する法律。
旧支援費制度で問題となった、精神障害者への対応ができなかった事、支援費制度から始まった措置から契約への制度変更に伴う利用者の増大とそれによる財源の不足、地域格差を補完できるように目指した制度です。
一方、介護保険制度は、介護保険法に基づく制度で、この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により、要介護状態となり、いろいろな介護が必要になる方へ、これらの人々が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう支える制度で、国民の協同連帯の理念に基づいて、公的ファンドを利用し運営されるものです。
大きな違いは、「国民の協同連帯の理念。」
(とは言っても障害者自立支援法でも、障害の有無に関わらず協力する事は国民の責務とありますが…)
人は皆、生きていれば必ず年をとります。年をとれば、必ず老います。生きていて避けられない老いというものは、人類、皆平等です。助け合っていく為の公的ファンド構築も比較的、国民全体に納得されやすい内容でした。
これが障害者にまで範囲を広げると、国民はどう判断をするでしょうか。
我々介護職以外の方の考え方、受け止め方は、きっと違うと思います。
老いと障害は似て非なるもの。
まぁ、こちらは政治家にお任せするしかない分野ですね。
私達の視点からの違いとして、障害福祉サービスの利用者及びその家族と介護保険利用者及びその家族の大きな違いは制度に対する理解度です。
介護保険には、ケアマネージャーが存在し、その制度について分かりやすく説明、解説してくれて、必要なサービスを行う為に事業所を教えてくれたり、とにかく至れり尽くせりが一般的。したがって、制度に深い理解が無くても、利用できる制度でもあります。(あくまで一般論として…)
これに対し、障害福祉サービスにはケアマネージャーにあたる人がいないケースが多いです。利用者本人が自力で事業所を探し、勉強し、制度を理解されております。恥ずかしながら、我々もお話していて、勉強不足と感じる点も多々あります。(あくまで一般論として…)
この理解度の差によって生じる弊害として、利用する側が希望するもの、事業所が提供できるものの違い、差が生じやすい制度になってしまうことだと感じます。
制度の考え方の方向性も気になります。
一方は、規制、一方は、緩和。
一本化するかどうかはわかりませんが、良い部分をお互いに吸収しあって、どちらの制度も熟成し、皆に親しまれる制度となる事を願います。