(先にお伝えしておきますが、これは、あくまで”ぼやき”であり、自身を正当化するつもりではございません。)
先日、普段は何とか杖で歩けるおばあちゃんから、14:30頃、電話がありました。
おばあちゃん「なんだか、急に目がみえづらくなって。眼科に電話したら16:00までに来てって言ってんだわ。なんとかなんねーけ?」
この方は、普段から杖で歩行していてもふらつきがあったり、特に車の乗り降りで転んでしまうかもしれないので、ヘルパーさんが病院の送り迎えをする「通院等乗降介助」というサービスを利用している方でした。
ヘルパー「わかりました。できるだけ早く手配します。15:30にお迎えに行けそうなので、すぐに対応しますね。」
おばあちゃん「お願いな~。」
このおばあちゃんは、とある公営団地にお住まい。道路から自宅までは約15mくらい入る必要があります。いつもは、車のところまで自分で、ゆっくり歩いてきてくれる方ですが、今日は「目がみえづらくなった」ということだったので、当然歩いてこれません。
おばあちゃんの自宅から道路まで、息切れしながら、いつも精一杯で歩いている方なので、最寄りの場所に、車を停めて、自宅にお迎えに行き、おばあちゃんの手を引きながら、車に戻ろうとすると、なんと警察官が立っているではありませんか。。。
どのような会話が行われたかは、詳細にはわかりませんが、停車位置は駐車禁止の場所でした。
いつもだったら、迎えに行くと、自分で車まで来れる方なので、ヘルパーも車を降りる必要がないですから、問題はなかったのですが、今回はいつもと状況が違いました。その理由をお伝えしても、K察官からは「ダメなものはダメなんで。」と言われたようです。交通反則告知書(いわゆる青キップ)には15:33に切られた記録がありました。お迎え時間が15:30なので3分ですね。時間は関係ないこともわかってはいますけど。。。)
車もほとんど通行の無い場所で、道幅も広く、交通の妨げにはなりそうもないのですが、駐車禁止場所なのできっと待機していたのでしょう。(ちなみに次の日も近辺を走行中にPトカーが2台くらい周回してました。人員的に余裕がおありなんですね。)
このような駐車禁止場所に車両を停めるには、「駐車禁止除外指定車標章」をダッシュボードに掲示しておけば大丈夫なこともわかってはいます。
しかし、今回のように急に電話があり、いつもと違い、自宅から車までの介助が必要となった場合、どうすればよかったのでしょうか?
人もいっぱい余分にいれば、二人体制で対応もできるでしょう。しかし、介護報酬は一人分だけしか認められないので、人件費としては現実的ではないのです。人材不足ですから余剰人員も確保できるとは限りません。人が配置できたとしても、自費請求でその分をおばあちゃんに請求?それも現実的ではないです。
すぐに「駐車禁止除外指定車標章」は発行されるかというと、数日かかります。対応方法をK察に問い合わせたところ、とてもユニークな回答をいただきました。
・利用者に駐車場を借りてもらう。(急に借りれるのかな?)
・駐車禁止でない場所に車を停めて、そこまで歩いてもらう。(それができないから困ってる)
・(契約していない)他の事業所に連絡して助けてもらう。(誰が助けてくれるんでしょうか。)
・私たちが行くのではなく、手段がないなら、救急車を呼ぶ。(笑)
とにかく、どのような理由があろうとも、道路交通法を守ればよいということなんでしょうけど、あえてこの状況を取り締まるという姿勢が、どこまでも仕事熱心なんだなぁと感じます。
自分の親がそのような状況で、「駐車禁止を取られるので、手は空いていますが、訪問はできません。救急車でも呼んでください。」と言われたら、どんな気持ちがしますかね~。
消防の方も、このような救急車の利用方法は推奨されるものでしょうか?
(たとえ、K察からのアドバイスでも、私たちはこのような状況では救急車を要請しませんのでご安心ください。)
状況的に納得がいかないと思ったのですが、現場のヘルパーさんは交通反則告知書にサインをしておりました。サインをしたのだから、納得したのでしょう?と言われました。
これは、K察では説明責任を果たしたことになるそうです。
私たちも介護保険サービスでトラブルになった際に、契約書に記載されていれば、利用者側の訴えを突っぱねる事業所もあるのかもしれませんが、私たちは記載していても、相手に伝わっていなかった、自分の説明の仕方が悪いと考え、利用者側の訴えを一旦受け入れて、その後の解決策を図ります。相談をしていて、そのような姿勢は微塵も感じませんでした。
ちなみにお迎えに行って、これから病院へお連れするというときのやり取りですから、病院にも行かなくてはなりませんし、サインをせざるを得ない状況だったと思います。(まあ、普通はK察官に詰め寄られたら、反抗しづらいですよ。)
何より、病院から帰ってくるときにも、パトカーが待機していたら、私たちは、目が見えづらくなった利用者を自宅まで送り届けることができないのです。(ちなみに実際、網膜剥離の診断を受けたようです。)
その日の対応は、駐車禁止ではない場所でもう一人のヘルパーを、他のサービスをお断りして、時間調整して待機させて、車から自宅までの介助を実施しました。
今後、似たようなケースがあったときは、緊急性が高くても、リスクマネジメントが働いて、対応できる状況でもお断りした方が良いと考える事業所もあるのではないかと感じる事例でした。
いろいろ、書きましたが、最初に言った通り、自分たちを正当化はしません。あらかじめ、体調の良い方でも、少しでもこのような状況が想定される場合は、どんどん駐車禁止除外指定車標章の申請をしておけばよいので、これからは、ガンガン申請しますよ。相当な数になりますが、しっかり数日で処理してもらいます。
まぁ、色々な事情に合わせて、例外的な対応ができない仕事でしょうから、仕方がないのですが、市民の安全、安心を守るべき仕事が、ときには、立場が違うと市民を不安にさせることにもなるんですね。
帰り際、その一部始終をみていた、急に頼んだおばあちゃんは、
「わたしみたいなのが、長生きしていると、こうやって若いもんの迷惑になるんだわな。生きてて、悪いことしたな。。。」と。
全ての人に通じる「正義」はありません。
だから、何が正しくて、何が間違っているというつもりはないです。
しかし、このもやもや感は感じていただけるのかなと思いました。。。