小野です。私たちは「利用者さんの喜ぶことをチームで一生懸命考えること」を大切にしてます。
歳を重ね、今までできていたことができなくなっていく…。
病気になり治療が難しくなり、痛みや苦しみ、死と向き合っていく…。
耐え難い苦しみです。
支援者として
ケアについて考えることはもちろんですが、私たちは「その方が喜ぶことは何か」をチームで考えます。
苦しいけど、つらいけど、生きていて良かったって一瞬でも思えるように。
胃がん末期と診断され、昨年末には抗がん剤の治療が受けられる状態でなくなったCさん。
これまで一生懸命病気と向き合い、医師のアドバイスを聞いて治療に専念してきたそうです。副作用にも苦しみました。でも治療のためと頑張ってきたそうです。血液のデータが悪くなりこれ以上、治療ができないとなった時、医師から、「ここからは食べたいもの、飲みたいもの。なんでもいいですよ。痛みに対してはきちんとコントロールしていきますからね。」といわれたそうです。
「言われて嬉しかったと思うか?抗がん剤の治療で味覚がなくなり、吐き気も増し、食べたいって思っても食べられないんだよ。」と、出会った時は悔しさでいっぱいで、涙を浮かべながら話をしてくださいました。もう二度と病院には行かない。入院もしない。このまま死んでもいいんだとの一点張り。
病院から在宅診療へ移行し、訪問看護、訪問介護、訪問入浴とサービス利用となりました。介入当初は、悔しさでいっぱいで、涙を浮かべながら、こんなはずじゃなかったと胸の内をお話になっていました。
在宅での緩和ケアは、本人、家族、医師、看護、介護、福祉用具専門員、ケアマネが話し合って、ご本人の意向にそった緩和ケアをしていきます。
Cさんの気持ちに寄り添いながら悔しさの中にも望みや喜びをキャッチして4ヶ月経った頃、「オレは優しくしてもらって幸せだな。ありがとう。」と言葉が変わってきました。
脳転移してるので覚醒も曖昧に、痙攣発作や無呼吸も出現してきましたが、
今日は痙攣もなく、吐き気もないようなので、元気な時に毎週通っていたホーリーホックの公開練習へ思い切って行ってきました!
ほぼ寝たきりでお過ごしなのに、グランドを目の前に目の輝きが増して、気持ちいいなぁと。
選手の皆さんも、お久しぶりです!と駆け寄ってきてくださり、病人ではなく、サッカーが大好きなCさんの姿がそこにありました。
お部屋に戻ってからはぐっすり。
私たちも、心のケアは心からの喜びがあってこそだなぁと、医療介護だけでは救えないことを実感した有意義な時間でした。
利用者さんと一緒に過ごす時間は宝物です。
それではまた。