制度の狭間で…

ホームヘルプ 介護保険制度

とある利用者様に予期せぬトラブルが発生した。

主介護者の骨折により、在宅生活を送っていた方が介護が受けられない状況となってしまったのです。

介護度は4。

現在、透析療法をおこなっておられる方で、車椅子にての生活を送っており、一日中排泄や食事などにほぼ全介助を要する状態です。

今回、老健に緊急的に入所となりました。

そこで、一つの問題発生。

今まで透析送迎を通院等乗降介助にて行っていたのに、利用できなくなってしまったのです。

保険者に確認するも、やはり施設サービスと居宅サービス、算定はどうやっても不可能。

その老健の近くにある病院での透析に変更なども、ご家族は今までどおりの場所で今までどおりのサービスを希望されていました。

しかし現実的に不可能なので、インフォーマルサービスを勧めました。

タクシー運賃の割引、地域支援事業、いろいろ探しましたが、利用できず…。

たどり着いた結論は、有償ボランティアによる移送介助。

料金も低価格で、院内も介助付。しかし…ご家族はそれも断ったのです。

そして、こんな言葉を頂きました。

「今まで世話になっている事業所だから、金額が高かろうが、なんだろうが、使わして欲しい。週○回の通院の内、できる範囲でいいからお願いしたい…」

このようなお言葉を頂ける事は、事業所冥利に尽きる想いでした。

金額ではなく、今までの担当者を通じてできた利用者と事業所の信頼。とても大きく感じました。

道路運送法、介護保険法に抵触しないように、このケースを対応するには、弊社できることは、介護タクシーしかありませんので、できる範囲で対応するとお話しました。できない部分は、家族が仕事を休んで行うそうです。

ご家族の想いに少しでも応えたく、できる範囲で限界まで予約を入れさせて頂きました。

本当にありがたいと思います。

その反面、透析療法など何が何でも通院が必要な方への、社会資源創設を急務とも感じました。経済的問題などが重なってくると今回のような解決策もなくなるわけですから…

制度の狭間でもがき、苦しむケースを何度も見てきました。その度に自分達の無力さを痛感するとともに、制度の成熟ももっと必要ですし、保険者からも、このような狭間を少しでも埋める努力や提案に尽力して頂きたいと思います。

また、有償ボランティアなど社会資源の情報をもっとたくさん集約したものができるといいですよね。全ての関連企業を網羅したものなど作れそうですが…
その具体的な料金設定なども、もっと簡単に情報を引き出せると、この様な時に、助かります。

狭間に目を向ける、マイノリティを救うことを探求し続けることが本来の福祉の姿でもあると、改めて感じた事例でした。

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