ある市町村で、プールに行きたい方がいるので、連れて行って欲しいとの依頼がありました。
もちろん、娯楽的な部分でNGであると承知してはおりますが、詳細をケアマネージャーに伺うと…
・医師からの強い紹介である。
・リハビリをプールで行う事で今後のADL低下において予防効果が高いと医師が判断。
この方は、歩行時ふらつくものの、見守りがあれば、安全に歩行可能。
要介護1の認定の方です。
「通院等乗降介助」を利用し、プールへ通い、リハビリをしたいという主旨です。
皆様はどう思われますか?
通院等乗降介助とは、
?利用目的について「通院等のため」とは「身体介護中心」としての通院・外出介助と同じものである。
?要介護認定の方は利用可能。
法令では、プールに行ってはいけないと明記されてはいない。
訪問介護サービスとして算定することが適切かどうかについては、
不適切理由として…
?直接本人の援助でない
?日常生活の援助に該当しない
これは、平成12年11月16日老振第76号通知による生活援助における場合の不適切事例としてあがってますが、全てにおいていえると思います。これには基本的に該当しないという気がします。(?の部分は個人差があると思いますが…)
身体介護とは…
?利用者の身体に直接接触して行うサービス
?利用者のADLや意欲向上の為に利用者と共に行う自立支援のためのサービス
?その他専門的知識・技術をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービス
生活援助とは…
?生業の援助行為、?、?以外での身体介護以外の訪問介護サービス
これは、平成12年3月17日老計第10号通知からです。
かなり抜粋して要点のみ記載しましたが、?、?から利用目的としては、間違っていないような気がします。
通院等乗降介助算定にあたって、
?通院等に必要である事、その他車両へ乗降が必要な理由
?利用者の心身の状況から乗降時の介助行為を要すると判断した旨
?総合的な援助の一環として、解決すべき課題に応じた他の援助と均衡している事
この3点を明確に位置づけられる必要はあります。
これらをクリアすれば、通院等乗降介助もしくは身体介護で対応可能ではないでしょうか?
医師の診断書など証拠があれば良いのでは…と考えます。
しかし、保険者回答はNO。
判定理由は訪問介護の範疇ではない…との事。
それでは、上記の???について、どう考えているのか…聞かせて頂きたいものです。
また、ケアマネジャーが相談した窓口となった方は、こんなことをおっしゃったそうです…
「プールで歩ける人が、通院等乗降介助を使う必要があるのですか?」
では、プールで歩ける人は使ってはならないのか?予防的観点は組み込んではいけないのか?歩行が困難になってから初めて利用すべきサービスなのか…
とりあえず、法令にも通知にもそんな事は書いていません。
なんでもかんでも介護保険を利用する事も間違っています。事業所の不正事項など今までにいろいろあって、規制をするという事も理解できます。
しかし、本当に必要であると、専門家が判断し、制度を利用する事で、ご本人の自立支援に結びついている事をむやみにNG出してしまうという判断は、本来、被保険者が受益できる権利を侵害している行為に他ならないような気がしてなりません。保険者判断は、必ず正しいのでしょうか?
正直、この例以外にも、コンプライアンスは当たり前として、そのグレーゾーンの判断が、利用者の未来を蔑ろにしているように思えてならない事例がたくさんあります。
狭義での事にとらわれ、広義を見失う判断…
こういうケースをどんどん私達が声を上げないと、制度そのものの存在意義が問われてくる状況になると危機感を感じている今日この頃です。
このままでは措置制度と変わらなくなってしまいます…